シトルリンはタンパク質を構成しないアミノ酸の1つで血液や臓器など身体の至るところに存在しています。
このシトルリンは、パフォーマンス向上効果やアンモニアを尿へ変換する役割があるなどスポーツやトレーニングはもちろんのこと、我々人にはとても重要なアミノ酸です。
今回はこのシトルリンについて解説していきます。
シトルリンとは
シトルリンは代謝機能において重要な働きを持つ遊離アミノ酸の1つです。
特にスイカ・メロンなどウリ科の食べ物に多く含まれています。
以前は医薬品指定でしたが、2007年にサプリメントとしても使用できるようになりました。
シトルリンはアンモニアから尿を作り出すという、人間の身体には欠かせない働きがあるため、常に体内でも生成されます。
シトルリンの注目すべき効果は非必須アミノ酸であるアルギニンと互いに作用し合うことでの一酸化窒素生成です。
シトルリンとアルギニンの関係
シトルリンは非必須アミノ酸であるアルギニンから作られます。
アルギニンも体内で作られ、シトルリンと同様にアンモニアを分解して尿を作り出す働きがあるので、シトルリンとアルギニンは互いに協働しあっていると考えられます。※1
またシトルリンはアルギニンから作られますが、アルギニンもシトルリンから作られるので、この2つは常に作られ、消費されるというサイクルとなっており、このアルギニンがシトルリンに変化する過程で一酸化窒素が生成されます。
一酸化窒素には血管を拡張し血液の流れを良くする働きがあり、心筋梗塞などのリスクを軽減、むくみ解消、アンチエイジングなどの効果がある他、持久力向上などスポーツのパフォーマンス向上など様々な効果があることがわかっています。
※1:シトルリンの代謝と薬効
シトルリンによるパフォーマンス向上
ある研究ではシトルリンのパフォーマンスへの効果を調べるために、シトルリンを7日間摂取するグループとしないグループに分け、サイクリングのタイムを7日前と7日後で比較しました。※1
するとシトルリンを摂取してないグループに大きな変化は見られなかったですが、シトルリンを摂取したグループはタイムが平均1.5%短縮したのです。※2
これはシトルリン自体の影響というよりも、アルギニンとのサイクルの過程で一酸化窒素が作られ、血流が良くなることで酸素を取り込みやすくなる、疲労の原因となるアンモニアを分解する作用が働いたと考えられます。
筋トレでもアルギニンをプレワークアウトとして摂取することで一酸化窒素を作り出し、パンプアップの促進や疲れにくさを体感することができますが、シトルリンには同様の効果があると言えます。
シトルリンは吸収率が高い
シトルリンには吸収率の高さというメリットもあります。
アルギニンはISSN(国際スポーツ栄養学会)でもパフォーマンス向上の明確な根拠は無いとされていますが、シトルリンはパフォーマンス向上の効果があるとされています。※2
これはアルギニンよりもシトルリンの方が吸収率が高く、素早くアルギニンに変換されるため(※3)シトルリンの方がアルギニンよりも効率的に一酸化窒素を作り出すことができるためであると考えられます。
筋トレのプレワークアウトとして摂取するのであれば、アルギニンよりもシトルリンの方がより効果を感じられるかもしれません。
※3:Table 3 Summary of categorization of dietary supplements based on available literature
※4:シトルリンの代謝と薬効
シトルリンの飲み方
シトルリンの効果を得るためには継続して摂取し、体内のシトルリン濃度を高める必要があります。
また継続して摂取するとともに、トレーニング前に摂取するとより効果を感じられます。
摂取目安量としては食品安全委員会では1日に800mgとされていますが、シトルリンの過剰摂取による副作用は報告されてないので、多めに摂取しても問題はありません。
ただ一酸化窒素生成を促すため、動脈硬化など血管拡張作用のある薬と一緒に飲むのは控えましょう。
常に体内でも生成されているシトルリンですが、栄養が偏ったり疲労によって不足するということもあります。
とくに筋トレをしていると疲労物質が溜まったり、水分を多く摂取するなどによってシトルリンが多く消費される事が考えられます。
トレーニング前のプレワークアウトととして、日々のコンディションとしてシトルリン摂取を検討してみてはいかがでしょう。