【βアラニン】という言葉は、トレーニングをしている人に限らず、日常の中でも聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
このβアラニンは、摂取することでパフォーマンス向上や疲労回復が期待できる、アスリートにはおすすめしたい栄養素です。
今回はこのβアラニンについて、基礎知識からその効果、飲み方などを解説していきます。
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βアラニンとは?
βアラニンは、ロイシンなどタンパク質を合成するアミノ酸とは性質が少し異なる、独自のアミノ酸のことです。
アメリカではスポーツサプリの定番でしたが、日本で使用が認められたのは2019年と最近になります※1。
アミノ酸と言われるものは、アミノ基とカルボキシル基と言われる有機化合物によって構成されており、ロイシンもβアラニンも共にアミノ基とカルボキシル基を持ちます。
ただ、これらの中央に位置する炭素原子がαなのかβなのか(あるいはγなのか)によって、αアミノ酸、βアミノ酸とその性質が異なります。※2
必須アミノ酸や非必須アミノ酸は基本的にαアミノ酸ですが、βアラニンはβアミノ酸ということになります。
少し難しい解説になりましたがβアラニンは、構造的にはその他有名なアミノ酸に似ているものの、その性質は全く別物の独自のアミノ酸だと理解していただければ問題ありません。
※1:『厚生労働省』
※2:『生化学へようこそ』
βアラニンはエルゴジェニックエイドの1つ
βアラニンは、タンパク質など身体の栄養となる物とは違い、身体の働きやスポーツのパフォーマンス向上を助長する働きがあります。
タンパク質は筋肉や骨格、細胞そのものを合成し、マルチビタミンなどはその合成を手助けするといった効果があります。
これらの栄養素はアスリートにはもちろん、日常生活を過ごす上でも欠かせません。
一方でβアラニンは、通常必要ではないものの、摂取することで身体のパフォーマンスをより向上させることができる栄養素になります。
アスリートがパフォーマンス向上を目的とした手段を取ることや食品を摂取することを、“エルゴジェニックエイド”と言いますが、βアラニンはまさしくエルゴジェニックエイドの1つとして摂取されています。
βアラニンがパフォーマンス向上させる仕組み
βアラニンを摂取すると、体内のヒスチジンというアミノ酸と結合することでカルノシンという物質に成ります。
このカルノシンが短距離走や高負荷のトレーニングなどの無酸素運動時に、筋細胞の収縮を緩和する働きがあり、パフォーマンス向上効果を発揮します。
ここからは筋収縮によるパフォーマンス低下の仕組みから順番に解説していきたいと思います。
パフォーマンス低下は乳酸による筋収縮が原因
筋肉は糖と酸素をエネルギーとして活動しますが、高強度のトレーニングや運動になると、筋肉が収縮する際に充分な酸素が筋肉へ行き渡らず、エネルギーとなる糖が不完全燃焼を起こし、乳酸へと変化します。
この乳酸が筋肉細胞を弱酸性化させることで、筋肉の収縮を促進させ、さらに酸素が行き渡らないという循環が起こります。
(※弱酸性化というのは、ph濃度といわれる筋細胞における酸性・アルカリ性を測る数値が酸性に傾こと。一般的に酸性に傾くと疲労が溜まりやすいと言われています)
短距離走や高強度のトレーニングは長い時間、筋力を発揮させることができませんよね。
これは乳酸によって筋細胞が弱酸性化し、筋肉が収縮するため酸素が充分筋肉へ行き渡らず徐々に筋出力が低下していくためです。
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近年、乳酸が疲労の原因ではないと見方が変わってきたように、筋肉の疲労には未だに諸説ありますが、最も有力視されているのは、筋細胞の酸性化によるものです。
カルノシンが筋肉の疲労を緩和する
カルノシンは筋細胞の弱酸性化を中和する働きがあります。
もともとカルノシンは“イミダゾールジペプチド”と言う名前でアスリートたちには広く知られており、その他“アンセリン”、“バレニン”といった物質もイミダゾールジペプチドに含まれます。
カルノシン(イミダゾールジペプチド)によって筋細胞の弱酸性化が中和されると、筋肉の収縮が抑えられるため、持続的に運動する事が可能となります。※4
数多くの研究でも、このカルノシンが体内の多く蓄積している人ほど、筋力を長く発揮できることがわかっています。
カルノシンは速筋組織に多く蓄積されており、先天的なカルノシンの蓄積量は人によって異なります。
生まれつき足が速い人というのは、速筋組織が多く体内にカルノシンが豊富なため、筋肉の収縮が緩和されることで、他の人よりも無酸素運動を持続させることができるので短距離走が早いということがイメージできるかと思います。
βアラニンはカルノシンを生成する
しかし、先天的に体内のβアラニン量が少なくとも、βアラニンを摂取することで体内のカルノシン濃度を高めることができます。
ある研究では、βアラニンを摂取したグループと摂取してないグループに分けて、高強度の運動を実施した所、βアラニンを摂取したグループの方が、特に反発スプリント(連続垂直跳びなどジャンプ)運動に置いて、高い数値を出したという結果が出ています。※4
βアラニンを摂取し体内のカルノシン濃度を高めることでパフォーマンスの向上効果は有ると考えられます。
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また、βアラニンが結合するヒスチジンは必須アミノ酸であるため、同時のヒスチジンも意識的に摂取していきたいですね。
※4:Effect of β-alanine supplementation during high-intensity interval training on repeated sprint ability performance and neuromuscular fatigue
βアラニンの飲み方
国際スポーツ栄養学会によると、βアラニンは1日に4g〜6gを少なくとも4週間は摂取することが推奨されています。※5
パフォーマンス向上を目的とするならば、運動前に一時的に摂取するのではなく、普段から継続して飲むことをおすすめします。
※5:International society of sports nutrition position stand: Beta-Alanine
βアラニンの副作用は?
「βアラニンを摂取すると手先がピリピリする感じがある」という報告があります。
これは“βアラニンフラッシュ”と言われていて、カフェインやエナジードリンクのを飲んだ際の興奮状態に似ている症状として実証されています。
しかし身体に悪影響は無いということが研究からもわかっています。
一時的に多く摂取しても大きな効果は得られないので、もし気になる方は1日の摂取量を減らすことをおすすめします。
βアラニンのまとめ
βアラニンは、やっと日本でも販売が認可された期待のサプリメント!
以前は医薬品扱いだった事からも大きな効果が期待できそうです。
βアラニンは、特に乳酸との戦いになるような持久系のスポーツにおすすめです。
陸上400m、中距離やボクシング、サッカーなどされてる方は試してみては!
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